一番町南診療所 仙台心臓血圧総合クリニックInformation

2022/07/01
雨や天候のすぐれない日は空いております 比較的待ち時間の少ない日のご案内 

いつも一番町南診療所をご利用頂きありがとうございます。日頃、当院にお寄せ頂きます皆様からのご信頼に心より感謝致しております。当院では待ち時間短縮に最大限努力致しているところであります。一方、雨天荒天翌日や,土曜日、休み明けは皆様のご利用が多く混雑しているようお見受け致します。天候のすぐれない日(雨、雪、強風)や時間帯は、皆様のご利用が控えられるため比較的空いております。また、仙台市内の多くの駐車場は午前10時以降混雑していることが多いようですので、お車でいらっしゃる方には、朝7時半から診療開始しておりますので朝8時前の早めの時間、もしくは昼12時頃、午後15-16時半頃のご利用をお勧め致しております。どうぞ、待ち時間をご心配なさって受診を希望される方におかれましては、御案内をひとつの目安にご利用頂けましたら幸いに思います。受診される皆様には、できるだけお待たせすることのないようスタッフ一同鋭意努めておりますが、土曜日、前日天候がすぐれない翌日は、大変混み合う傾向がありますので予めご留意頂けましたら幸いに存じます。これからも、皆様への利便性向上に努め、待ち時間の少ない快適な受診環境整備に努めて参ります。どうぞ、お気軽に一番町南診療所をご利用頂けましたら幸いに存じます。


2024/06/01
当院では医療情報システム基盤・医療DX推進体制を整備し診療を行います

当院ではマイナ保険証によるオンライン資格確認を行う体制を有し、受診歴、薬剤情報、特定健診情報等の診療情報を取得・活用した診療を実施しております。また、マイナ保険証の促進、医療DXを通じてより質の高い医療を提供できるよう取り組んでおります。


2018/05/28
胸痛ー微小血管性狭心症の診療ー

20歳代~60歳代の、特に女性に多い胸痛のひとつに微小血管狭心症という病気があります。微小血管狭心症は心臓の表面を走っている冠動脈の狭窄や収縮を原因とするのではなく、心筋の中を走る細い血管(微小血管)の収縮循環障害等で起こる狭心症です。一般に狭心症として診断されるには、有意な心電図変化や、冠動脈CT、カテーテル検査での所見をもって診断するわけですが、微小血管狭心症の場合には、これらの検査で造影される大きい冠動脈の狭窄による胸痛ではなく、心筋内の微小血管の収縮異常や循環障害によるため、冠動脈CTやカテーテル検査では異常なしと診断され、肝心の症状についての診断が得られないままのケースとなる場合があります。その際、参考になるのは患者さんのお話しです。微小血管狭心症は、安静時・就寝時に起きやすく、心身の過労、ストレス、不眠、寒冷が誘因となることが多く、多くの症状は数分ですが、数時間から一日中継続する場合もあり、特にストレスや過労、睡眠の不調を頻度多く伴います。また、一般に動脈硬化のない若年~中年前後の女性の方に多いのが特徴です。狭心症の診断は、臨床症状を丁寧に伺い、症状時の心電図変化や、24時間ホルター心電図検査、必要に応じて冠動脈CT、カテーテル検査などの結果をもとに総合的に判断してゆきます。近年になってようやく、冠動脈閉塞を伴わない心筋虚血INOCAという冠動脈造影検査で異常を認めない狭心痛に対する診断概念も提唱されはじめました。微小血管性狭心症による症状は、適切な生活習慣指導やお薬を処方することで、長らく患っていた胸痛症状から解放され、治療しうる症状でもあります. 胸痛を患ってお困りの方、心臓CTや心臓カテーテル検査等でも診断がはっきりしない胸痛でお悩みの方、どうぞ、お気軽に一番町南診療所までご相談頂けましたら幸いです。


2023/03/09
当院を利用される方は院内ではマスクを着用なさってご利用下さい

いつも当院をご利用頂きありがとうございます。3月13日以降のマスク着用の考え方について国の方針が示されました。厚生労働省からの指針にあります通り、当院を利用される方は院内ではマスクを着用なさってご利用下さい。当院は高齢者や基礎疾患のある方等感染リスクの高い方が多くご利用されており、当院を利用する方は院内では必ずマスクを着用なさってご利用頂きますよう予めご案内申し上げます。御案内を遵守されない方は、当院利用者をおまもりする為、院内立入をお断り申し上げることがございます。感染リスクの高い方をおまもりし、皆さまが安心なさって当院を受診頂けますよう、マスク着用についての当院の方針について、予めご理解ご了承の上ご利用下さい。どうぞよろしくお願い致します。


2022/08/02
2022年夏のご挨拶

盛夏の候、今年の夏は酷暑ともいえる暑い毎日が続いております。新型コロナウイルス感染症感染拡大も心配な毎日かと存じます。一番町南診療所では、通常診療、ワクチン接種に加えてかかりつけの皆様から新型コロナウイルス感染症を心配する相談が尽きない状態が続いております。今年は、休日返上で、診療に公務に、過ごしておりますが、加えて、当院では院長、名誉院長がそれぞれ、この感染ピークの最中、仙台市急患センター、北部急患診療所の夜間休日救急診療当番をおこなって参りました。感染拡大下の週末、この夏80歳になる名誉院長が北部急患診療所の休日診療を担当致しました。院長も昨夜仙台市急患センター夜間診療を担当致しました。高齢の名誉院長においては、コロナ禍、救急診療を善意で担う医療者が減少している仙台市の夜間休日初期救急診療の現場で、少しでも市民の皆様の生命と健康をおまもりしたい使命感からであります。院長においても、この感染拡大下、通常診療や公務、感染対応に加えて、仙台市急患センタ当直明けの通常外来診療は大変疲労致しますが、気力を振り絞って名誉院長同様、患者さまの皆さまの命と健康をお守りする立場からの責任感で、担い手が不足している仙台市急患センター内科救急担当を続けております。地域の救急医療体制は、医療従事者やその家族らの献身的努力や犠牲の上に、参画する医療機関、医療者、利用者の皆様の善意の輪でこれまで成り立っておりました。私たちもその一人として、開院来10年間、善意の輪で成り立つ夜間休日救急診療を支えて参りました。しかし、年々仙台市急患センター、特に内科当直の担い手が減少不足する最近の潮流下、市民の皆様の命と健康をおまもりする仙台市急患センター内科診療の現場を維持するためには、善意にて成り立っている初期救急体制を拡充し、さらにその担い手を増やす必要もあると感じております。医療崩壊せず現在の担い手である医療従事者が燃え尽きず仙台市民の皆様のための医療体制を維持するため、現在善意で参画している医療者のみならず市民の皆様で安心してかかれる初期救急体制構築を目指す時期にきているものと最前線で診療している立場からは実感致します。私自身、皆さまの命と健康をまもるための使命感で診療に取り組んでおりますが、最近は、自分自身がいつ感染してもおかしくないという不安と緊張感や、診療公務で忙しいあまりに自らの健康を損ねて倒れやしないかという心配もしながら過ごしております。どうか、一日も早くコロナ禍が収束し市民の皆様をおまもりする医療体制も拡充され、平和な日常生活を送れるようになりますことを心より願います。どうぞ、皆様におかれましても健康にこの夏をお過ごし下さい。


2022/05/07
おかげさまで一番町南診療所仙台心臓血圧総合クリニックは開院10周年を迎えます

いつも一番町南診療所をご利用頂きありがとうございます。おかげさまで一番町南診療所は開院10周年を迎えます。これも、診療所を信頼頂いております患者さま、いっしょに一生懸命診療に取り組んで来たスタッフ、そして、連携して患者さまの診療にあたって下さる医療機関の皆さまのおかげと心より感謝申し上げます。一番町南診療所は皆さまの身近な医療機関としてこれからも皆さまの健康に寄与して参りたいと考えております。私たちの診療の特徴のひとつは、皆さまに身近な存在で、”心臓・血圧を診る”ことです。特に、胸が苦しい、ドキドキする、息切れがする、血圧が高い、などの症状は、いつ、だれにでも起こり得ます。一方、これらの症状は生命に関わる症状であることも考えられ速やかな診療を必要と致します。一番町南診療所では、定期通院中の皆さまの生活習慣病をはじめとする”内科”全般について診療し、”心臓・血圧”については主治医として皆さまのお役に立つ診療をする、 ”内科・心臓・血圧を診る” 皆さまのかかりつけ医でありたいと思っております。心臓の症状や疾患はいろいろな原因でおこります。どうぞ、心臓のことで気になることがございましたら、お気軽に私たちにご相談下さい。皆さまに身近な存在で、”内科・心臓・血圧を診る” そして、必要な時には、いっしょに地域医療に携わっております高度医療機関と分担連携して、皆さまの診療をおこなって参ります。新型コロナウイルス感染症対策と皆さまの生命と健康をおまもりすることを両立し、これからの時代に皆さまが心身共に健康にお過ごし頂けるよう努めて参ります。どうぞ御愛顧の程何卒宜しくお願い申し上げます。


2022/01/01
2022年 新年のご挨拶

謹賀新年 昨年中は、一番町南診療所に多大なご愛顧を賜り心より御礼申し上げます。おかげさまで一番町南診療所は、当診療所を御信頼頂きご利用下さいました皆様、当診療所をお支え下さいました医療機関、医療関係者の皆様、そして、一緒に患者様の診療に取り組んできました素晴らしいスタッフ一同のおかげで、新年を迎えることができ、心より皆様に感謝申し上げます。今年、一番町南診療所は開院10周年を迎えます。一番町南診療所は、本年も、他の医療機関の皆様と力をあわせて外来診療に邁進して参ります。一番町南診療所では、開院来10年、院長、名誉院長がそれぞれ仙台市急患センター、北部急患診療所の夜間休日救急診療当番に協力し続けて参りました。この年末も、院長が仙台市急患センター、名誉院長が北部急患診療所の日直を担当し、年末年始の地域救急医療に参加させて頂きました。皆さまの健康をお支えする当診療所は、変革と努力の歩みを本年も続け、内科・心臓・血圧を総合的に診る役割を果たし、頂戴して参りました御信頼とご期待にお応えし続けたいと思っております。どうぞ、ご指導ご鞭撻の程なにとぞお願い申し上げます。皆様にとりまして新年が幸せで穏やかな一年でありますように。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


2021/05/30
重要:土曜日診療受付時間は新患10時、再来11時までとなります。

いつも一番町南診療所をご利用頂きありがとうございます。
土曜日の診療時間、受付時間を変更致します。6月5日土曜日~、土曜日受付診療時間は受付午前8時半~午前11時(新患受付は午前10時)まで、診療時間は午前9時~11時半までとなります。皆さまが一日でも早くワクチン接種できますよう、当院では、土日も返上し出来るだけ皆さまがワクチン接種をご利用頂けますようお手伝いをしております。そのための土曜日診療時間変更です。診療やワクチン接種に支障がでないよう皆さまの御理解御協力をお願い申し上げます。どうぞ宜しくお願い致します。


2021/05/06
”内科・心臓・血圧を診る” 皆さまのかかりつけ医療機関であり続けるために 開院9周年の御挨拶

いつも一番町南診療所をご利用頂きありがとうございます。おかげさまで一番町南診療所は開院9周年を迎えました。これも、診療所を信頼頂いております患者さま、いっしょに一生懸命診療に取り組んで来たスタッフ、そして、連携して患者さまの診療にあたって下さる医療機関の皆さまのおかげと心より感謝申し上げます。一番町南診療所は皆さまの身近な医療機関としてこれからも皆さまの健康に寄与して参りたいと考えております。私たちの診療の特徴のひとつは、皆さまに身近な存在で、”心臓・血圧を診る”ことです。特に、胸が苦しい、ドキドキする、息切れがする、血圧が高い、などの症状は、いつ、だれにでも起こり得ます。一方、これらの症状は生命に関わる症状であることも考えられ速やかな診療を必要と致します。一番町南診療所では、定期通院中の皆さまの生活習慣病をはじめとする”内科”全般について診療し、”心臓・血圧”については主治医として皆さまのお役に立つ診療をする、 ”内科・心臓・血圧を診る” 皆さまのかかりつけ医でありたいと思っております。心臓の症状や疾患はいろいろな原因でおこります。どうぞ、心臓のことで気になることがございましたら、お気軽に私たちにご相談下さい。皆さまに身近な存在で、”内科・心臓・血圧を診る” そして、必要な時には、いっしょに地域医療に携わっております高度医療機関と分担連携して、皆さまの診療をおこなって参ります。新型コロナウイルス感染症対策と皆さまの生命と健康をおまもりすることを両立し、これからの時代に皆さまが心身共に健康にお過ごし頂けるよう努めて参ります。どうぞ御愛顧の程何卒宜しくお願い申し上げます。


2021/03/11
あれから十年経って

 医療法人社団葵会 一番町南診療所 名誉院長本田剛彦

  東日本大震災を被災してから、令和3年3月11日は満10年の節目を迎える。

 すでにひと昔前の歴史的大惨事になるが「もうそんなに経ったのか」と肯ける気持ちと、心の隅に忘れがたい傷や痛みが残っていて、まだ1~2年しか経っていない出来事のように感じることもある。

 国内の地震として過去最大になるマグニチュード9.0のとてつもない揺れの現場とその直後の巨大津波襲来時に目の当たりにした凄まじい光景は、今でもビデオの再生のように鮮明に脳裏に焼き付いている。

 その日は外来が混む金曜日で、午後2時46分までの時間帯はいつもの通りの診療が滞りなく流れていた。それからわずか1時間も経たないうちに南三陸町志津川の町並みは目の前で為すすべもなく壊滅したのである。

避難時の判断を間違っていたら、悲劇的な結果になっていたかもしれない事態だった。

この未曾有の天変地異に直接立ち会った時は、にわかには理解できず茫然自失して、まるで特撮映画のワンシーンを見ているような錯覚になったのを思い出す。

咄嗟の避難行動で何ひとつ持ち出せず、白衣の上にジャンパーを引っ掛けて、着の身着のままで退避して、雪の山道をサンダル履きで雑木林の中を歩き、避難所になった志津川小学校の体育館にたどり着いた。

 その日は現代社会のすべてのインフラが遮断されて、展望が全く見えない状況の中で、暗くて寒い体育館で冷たい床の上にごろ寝をせざるを得なかった。

避難した町民が数百人も集まり、何がなんだか訳が分からない大混乱の中で、まんじりともせずに過ごしたあの夜の経験は生涯忘れないだろう。

 「千年に一度の大災害」に遭遇して、日常の暮らしと生業の原住所および社会的、経済的な基盤があっという間にすべて消滅してしまい、後半生の生き様を変えさせられた。

 私にとってはコペルニクス的転回と言っても過言ではない。

 被災後の12カ月間の胸中は動揺、右往左往して「これからの生活をどうするのか」、「医師という職業を全うできるのか」、「家族を含めて心身の健康に悪影響はないか」などの不安、焦燥、喪失、無念、混迷、心痛が交錯していた心理を、今更ながら思い返される。

 人間は戦争、大災害、大病、大きな事故や事件などを体験すると、ものの見方や考え方、行動が変容すると言われている。

 衣食住が充足して便利なインフラの下で平穏な日々を送っていた凡人は、住み慣れた環境と日常生活の思いもよらない唐突な消失に気持ちが落ち込んだり、逆に昂ったり、人に会いたいと思えず、酒が不味く感じたり、食欲が落ちて体重が減ったりした。

一時的に抑うつ症状、心的外傷後ストレス障害に陥っていたに違いない。

幸いいろいろな方々からの支援を受けて、10年を経過した今は、100%ではないにしても、心身ともにおおむね復興していると自負している。

逆に最近は時々、もしも東日本大震災が起きていなかったら、今頃はどうしているだろうかと、空想する時がある。

3・11がなかったら、おそらく地域医療の中に没入した時空間が引き続き絶え間なく流れて、老後に備えての生き方や死に様を考えるゆとりすらなかったのではないかと思う。

 リラックスできる自分の時間を持てないままに、相変わらず“Aタイプ行動パターン”で動き回り、あっという間に春夏秋冬が過ぎて、いたずらに馬齢を重ねていただろう。

 あるいは縁起でもないが、忙しさのあまりストレスや不摂生と運動不足のるつぼの中で、BMIが30以上になったり、生活習慣病を罹患したり、がん、心筋梗塞や脳血管障害などを患って、もはや自立できない状態になり、深刻な後半生になっていたかもしれない。

今となれば「タラレバ」の笑い話になってしまうが、 鴨長明が“方丈記”に記した「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しく留まりたる例(ためし)なし。世の中にある人と栖(すみか)と、またかくのごとし」の一節は、東日本大震災にも通じると理解すれば、あながち無意味な想像ではない。

この10年間には3・11を境に人生観、価値観がずいぶん変わったと自認している。

震度6強の騒乱の最中にわずかな時間差で、連れ合いと従業員全員が一緒に命が助かっただけでも良かったと、達観できる心境にもなっている。

「過ぎ去ってしまったことはいくら悔やんでも、絶対に元には戻らない」、「後向きでは、周りを見回して前に進む道が開けない」と、己の気性の変換を自覚した。

さらに、まだ起きてもいない事象に余計な心配をせずに、「今日を元気で充実して生きる」心構えを持とうと決心した。

そのためには拙速でもよいから、「取り敢えず第一歩を踏み出す」、「できない理由を考えるより、やれる方法を探す」を実行している。

特に運動習慣と随筆もどきの雑文書き、“男の料理”に関しては現在進行形である。

一病息災(?)の身になったが、認知症とロコモティブ症候群の予防対策をしようと頑張れる気持ちになった。

現時点で健康寿命を延伸し続けていることは、後期高齢者にとってなによりうれしい。

劇作家井上ひさし氏が言っていた(と思う)「平凡でもルーティンが続いているのが幸せの原点」をあらためて実感して、平穏な日々が如何に有り難いかを身に沁みて感謝している。

 太平洋戦争敗戦後、国や国民の努力によって先進国の一員になり、昭和の後期から平成時代になると、私たちは「平和と物質的豊かさ」が無意識に当たり前として生活した。

東日本大震災はこの安定して、恵まれた環境が突然ひっくり返されて、有無を言わさずいきなり奈落の底に落とされたようなものだった。

しかし一方では、東日本大震災で失ったものは非常に大きかったが、得たものも決して少なくないと、納得している部分もある。

“足るを知る”を実際に体験し、実施しているからである。

その上“心身の健康”と“身辺の安全”、”家族の安寧“は幸せ度数の指標であると教えられた。

10年を経た被災者として「不幸せか」と問われれば、今は「85%以上の幸せだ」と答えられるだろう。

人間の一生において、不幸感と幸福感は結局プラスマイナス・ゼロであり、故事の「人間万事塞翁が馬」は真実だと思う。

さらに、この宇宙のどこかに人知の及ばない絶対的超越者(Something Great=神様、仏様、お天道様)がおられて、われわれの運命を定めているのではないかと、従容する感情にもなっている。

人はこの感情を信心とか宗教心というのだろうかと、半信半疑である。

大震災後、私たちが命を預けているこの惑星が内蔵している自然の力に、畏怖の気持ちを越えて、畏敬の念を持つようになった。

人類は想定外の多種多様の自然現象を容認し、不条理や理不尽な社会の変化をも覚悟しておかなければならないと思うのは、被災後の数年間の葛藤が醸成したと確信している。

そして3・11の節目を迎える今年、予想もしていなかった新型コロナウィルス感染症が世界中に蔓延しているのも、自然界の不可思議な潜在力の発露と考えざるを得ない。

残生の有効期限があと何年間あるのかは“神のみぞ知る”だが、じたばたしないで自分が出来る限りの努力をして、「天命に従って一日一日を愉快に生きよう」と思っている、あれから10年後の姿勢である。